気象

天皇晴れ

 アニメ映画『天気の子』は〝晴れ女〟がヒロインだ。どれほど雨が降っていようとも、祈ることで晴れてしまう。そうした特殊能力はアニメの世界だけのことだが、無意識下での晴れ女・晴れ男は現実にもいるようだ▼特に印象的なのが天皇陛下だ。先日(2019年10月22日)の「即位礼正殿の儀」では東京での夜来の雨が、天皇陛下がお出ましになる直前に止み、青空が現れてお祝いの虹も出た。こうした晴れ男としてのエピソードは歴代の天皇にも数々あって巷では特に「天皇晴れ」と言うらしい▼海上保安庁との関連では、現在の上皇・上皇后両陛下の比国ご訪問(2016年1月)の時がそうだ。両陛下は「あきつしま」搭載ヘリでマニラから戦没者慰霊地へ飛び立った。しかし現地は雨。飛行中止や変更もあり得る状況だったが着陸時にピタリと止んだ。両陛下がご無事に降りられる姿を生中継で見守っていた本庁各課からは歓声と拍手が沸いたという。昨今の日本各地の大雨被害。新たな御代に傍若無人な雨男や雨女はご免だ。(海上保安新聞「海流」2019年10月21日)