秋の味覚サンマが今季も不漁だという。日本のサンマ漁は1950年代に隆盛し、漁獲量はピーク時には50万㌧を超えた。ところがその後減少し、2017年は8・4万㌧と1969年(6・3万㌧)に次ぐ過去2番目の低値となった。今季はそれが「一昨年並み」とも心配されているのだ▲減少の要因が地球温暖化によるサンマの回遊ルートの変化だ。サンマは日本の南方で産卵し、黒潮に運ばれて北海道東方で育ち、秋に親潮に乗って三陸沿岸沖を南下する。ところが今季は黒潮がより北方に張り出し暖水塊も東北沖に停滞するため、サンマの群れは日本に近寄れず、北海道の遥か東方沖にいるらしい▲9月17日に転覆したサンマ漁船「第65慶栄丸」(8人乗り組み)は例年の漁場よりも遠い、約600㌔離れた公海に僚船と共に出て行き遭難した。海上保安庁は航空機や巡視船などを出して捜索したが、全員の発見には至ってない。地球温暖化で、海難現場もより遠くになるのかもしれない。(海上保安新聞「海流」2019年9月26日)