生命

寿命の壁

 安倍晋三・元総理が7月8日昼、奈良市内で選挙遊説中に狙撃されて亡くなった。行年67歳。実は彼の父、外務大臣などを務めた晋太郎氏も、すい臓癌のために同じ67で亡くなっている。政治家では他に、農林水産大臣などを務めた中川一郎氏が1983年1月に57歳で自死し、長男の、財務大臣などを務めた昭一氏が2009年10月、父親の行年を越える1年前に56歳で病死している。果たして、親の死んだ年齢が子供の「寿命の壁」になるものなのか▼私の父は胃癌のために満62歳で死んだ。ところが、私も同じ歳で肺癌が見つかったのだ。すでに手術ができず病期もⅣステージだったので「えい、ままよ」と覚悟を決めたが、新薬の効果や幾つかの幸運によって癌が完全に消え、こうして消えて生き延びている▼広く世の中を見れば「寿命の壁」は単なる偶然であり、人の生き死には自然の成り行き任せのようだ。それに対して許せないのが殺人、最たるものが今も起きている戦争だ。(402)