東北の田舎町、小学1年の頃に学級でちょっとおませな〝結婚ごっこ〟が流行った。好きな子の名字と自分の名前を組み合わせて「結婚したい人」を発表する遊びで、男女ともに喜んだり冷やかし合ったり…。ところが同じ名字が幾人もいたり、嫌いな男子と〝結婚〟させられた女子が泣き出すなど、ほどなく熱も冷めてしまった▼結婚して名字が変わることの深刻さは正直、自分の娘がその時になるまで分からなかった。娘には「運勢の良い名前を」と姓名判断の本を読んで付けたのに、相手の名字になって凶に転じてしまったのだ。このことは妻にも黙っていたが、結局12年後に娘が離婚していよいよ無念さを強くした▼心配なのは養育費なしで生活する娘ら家族のこと。勤務先や孫の学校との都合で旧姓にはまだ戻していないという。国連委も日本に再三勧告する「選択的夫婦別姓」制度。離婚時も踏まえてさっさと審議し導入してほしい。時間浪費の〝政治ごっこ〟はもうやめだ。
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