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セアカゴケグモ

豪州原産の毒グモ「セアカゴケグモ」が28年前に大阪に初上陸して以来、今では青森と秋田を除く45都道府県に分布しているという。このクモには思い入れがある。その初上陸の記事を私が書いたからだ▼つくば市の科学記者クラブに関西の研究発表の案内が届いた。興味を引いたのが「外来毒グモの大阪府高石市での初発見」。電話取材を終えると、親しいT紙記者が「面白そうな話ですね」とすり寄ってきた。内容がみんなの注意が必要な毒グモの話だったので、特ダネ意識は捨てて概要を教えてやった。ところが記事が共に明日(1995年11月24日付)の朝刊に出ると思っていたのに、私のM紙は何故か半日遅れの夕刊掲載となってしまったのだ▼そうした貧乏くじは、わが人生では他にも度々あった気がする。ちなみにゴケグモの名前は、交尾を終えて油断した雄が雌に食べられ、ほとんどが雌だけとなったために付いたとか。そうした雄に何故か同情してしまう自分もまた悲しい。